Inbox & email triage

Inbox Zero

受信トレイを仕分けし、返信の下書きまで用意するオープンソースのAIメールアシスタント。送信するのはあくまで自分

elie222/inbox-zeroTypeScript12,154 as of 2026-09-05
By Jake Luo · Published 2026年9月5日

Inbox Zero は自分で運用できるオープンソースのAIメールアシスタントです。既存の Gmail または Outlook アカウントに接続し、普通の言葉で書いたルールに従ってメールを仕分けし、自分の口調に合わせた返信の下書きを用意します。送るかどうかを決めるのは最後まで自分です。2026年9月5日時点で GitHub のスター数は 12,154 で、ほぼ毎日プロダクトのコミットが入っています。導入前に読むべきなのは機能一覧ではなくライセンスです。AGPL-3.0 に二つの追加条項が付いており、そのうちの一つは、組織内で業務利用する人が5人以上になった時点で有償の法人ライセンスを求めます。

Inbox Zero とは何か

Inbox Zero(github.com/elie222/inbox-zero)は Inbox Zero Inc. による TypeScript 製のアプリケーションで、いま使っているメールアカウントを置き換えるのではなく、その上に乗る形で動きます。アドレスもプロバイダーもそのまま、仕分け・下書き・報告を行う層が加わるだけです。リポジトリは2023年7月に作られ、開発は継続中です。メインブランチには2026年9月4日まで平日のほとんどで通常のプロダクトコミットが入っており、取得時点で未解決の課題は196件でした。Docker イメージはメインブランチへのプッシュごとに作られ、タグ付きリリースはデスクトップ版向けに出ています。

  • ルールは普通の言葉で書く フィルタ条件を組み立てる代わりに、あるカテゴリのメールをどう扱ってほしいかを文章で書くと、アシスタントがその記述を受信メールに当てはめます。
  • 返信は下書きで届き、送信はされない 自分の口調で返信を書き、下書きとして残します。送信の判断は自分の手元に残る。この線引きがあるからこそ、実際のアカウントで試しても危なくありません。
  • Reply Zero は二つの待ち行列を持つ 自分が返信すべきメールと、相手の返信を待っているメール。創業者が頭の中でうまく管理できずにいるのはこの二つで、案件が静かに止まるのはたいてい後者です。
  • 一括での配信停止とアーカイブ 一度も開かない差出人からワンクリックで配信停止でき、読む見込みのない滞留分はまとめてアーカイブできます。
  • コールドメールのブロッカー 頼んでいない営業メールを自動でブロックします。自分でもコールドメールを送っているなら覚えておく価値があります。送る相手の側も、同じようなものを使うようになってきているからです。
  • Slack と Telegram から操作できる すでに開いているチャットツールから受信トレイを操作できます。メールとカレンダーから会議前の要点をまとめる機能や、添付ファイルを Google Drive や OneDrive に振り分ける機能もあります。

導入する前にライセンスを読む

リポジトリには GNU Affero General Public License v3.0 に加えて、短い追加条項のかたまりが付いています。使えるかどうかを決めるのはこの追加条項のほうです。これは機能の側からではなくライセンスの側から見たオープンコアであり、書きぶりが明快なので判断は一分で済みます。背後に企業がいるプロジェクトの多くについては、そうは言えません。

  • 業務利用者が5人未満なら適用除外 LICENSE ファイルは個人利用・教育利用・研究、および業務利用者が5人未満の組織を除外しています。ひとりや3人のチームなら、自分で運用しても支払いは発生しません。
  • 5人以上になると法人ライセンスが必要 示されている基準は、業務目的で使う従業員・業務委託先・利用者を数えます。成長中のチームが誰も気づかないまま越える線なので、あとで発見するのではなく、採用計画の横に書き留めておくべきです。
  • 販売もアクセスの再販もできない 商用の収益化に関する制限があり、会社からの書面による許可なしに、アクセスを売ること、有償サービスとして提供すること、営利目的でライセンスする製品に組み込むことが禁じられています。
  • 土台の AGPL は引き続き効いている 改変したものをネットワーク越しに他者へ使わせる場合、ソース公開の義務は通常どおり発生します。追加条項は許される範囲を狭めるものであって、基礎ライセンスを緩めるものではありません。
  • ホスティング版もある 開発元は有償のホスティングサービスを提供しており、これを選べばライセンスの問題は丸ごと消えます。自前運用はここでは形だけの選択肢ではなく本物ですが、唯一の選択肢でもありません。

受信トレイの道具がグロースの道具立てに入る理由

これを個人の生産性の話として片づけ、それ以上考えないのは簡単です。しかし創業者にとっては誤りです。三つのグロース施策が同じ受信トレイに流れ込むからです。コールドメールへの返信、自社サイトからの問い合わせ、そして創業者自身が売る場面のすべての会話。散らかった受信トレイの代償はストレスではありません。届いていたのに返さなかった返信であり、それは外から見ると、最初から興味がなかった見込み客と見分けがつきません。

  • 返信の速さは小さなチームでも勝てる変数 資金のある競合に支出で勝つことはできず、開発速度でも勝てないかもしれません。当日中に返すことは自分には手が届き、相手には届かないことが多い。
  • 返信待ちの行列は姿を変えたパイプライン 沈黙で死ぬ案件はすべてこのリストの中で死にます。見えるようにするだけで手当ての大半は済んでおり、それを表示する道具が何であるかは問いません。
  • 何の配信を止めたかはデータになる ワンクリックでの配信停止を一か月分ためると、自分から何も得られなかったニュースレター・ツール・取引先の正直な棚卸しになります。自分でニュースレターを始めようとしているなら、なおさら役に立ちます。
  • メールはいまも人が返事をする経路 私たちは顧客に毎日の要約をメールで送り、そのまま返信できるようにしています。返信は普通のメールとして届き、担当のグロースオフィサーに渡ります。一日じゅうチャットアプリにいる人にとっても、注意が向く場所は受信トレイです。

人を残しておきたい部分

私たちも送信側で同じ形を採っています。まず下書き、それから承認です。ですから伝える価値のある注意点は、誰かの README ではなく自分たちのログから出てきたものです。自動化された処理が派手に失敗することはまれです。私たちの場合、処理そのものは起きていないのに記録上はきれいに成功していました。気づけたのは、提案された内容と実際に起きたことを突き合わせて読み返す仕組みを後から作ったからです。受信トレイにもまったく同じ死角があり、しかもそちらのほうが厄介です。誤りの証拠は、もう目の前にないメッセージだからです。

  • 取り返しのつかない操作は見直せる形にしておく アーカイブ・ブロック・配信停止は、間違えても気づかない類の操作です。信用する前に一週間は抜き取りで確認し、元に戻す道を残しておくこと。
  • 返信の既定値は下書きが正しい 下書きの手直しは安く、送信はそうではありません。送信を人の手に残すことは、形式ではなく実際に働く人間による確認です。
  • 受信トレイ全体ではなく、ルール一本から始める いちばん確信のあるカテゴリ、たとえば領収書やニュースレターを選び、その扱いが退屈になるまで単独で走らせてください。
  • 見知らぬ相手にルールが何をするかを見る コールドメールのブロッカーは、望まない売り込みと、たったいま自社を見つけた顧客からの最初の一通を区別できません。時間ではなく売上を失う誤りは、この一種類だけです。

FAQ

Inbox Zero は自前で運用すれば無料ですか
個人利用・教育・研究、または業務利用者が5人未満の組織であれば無料です。LICENSE ファイルがその四つを除外しています。業務目的で使う従業員・業務委託先・利用者が5人以上になると、追加条項により開発元の法人ライセンスが必要になります。基礎ライセンスの AGPL-3.0 も引き続き有効なので、改変版をネットワーク越しに他者へ提供する場合は通常どおりソース公開の義務が伴います。
Outlook でも使えますか、それとも Gmail だけですか
どちらでも使えます。README には Google と Microsoft 両方の OAuth 設定が書かれており、実際のメールボックスに触れずに開発できるよう、それぞれのローカルエミュレータも同梱されています。この二社以外のプロバイダーを使っているなら、これは向いていません。
自分の名前でメールを送信しますか
返信は下書きとして書かれ、送信は人の判断のまま残ります。どの道具を使うにせよ、これは守る価値のある設計上の選択です。下書きを書くアシスタントは直すのが簡単ですが、送ってしまうアシスタントは最悪の日の出来と同じ価値しかありません。私たちが自社製品で送信物の手前に承認の関門を置いているのも同じ理屈です。
共有メールボックスやヘルプデスクとは何が違いますか
ChatwootLibreDesk のようなヘルプデスクは、見知らぬ相手に応対するチームのために作られていて、担当割り当て・待ち行列・対応品質の取り決めがあります。Inbox Zero は一人分のメールボックスのために作られていて、そこでの問題は振り分けではなく、量と、返し忘れた一通です。同じアドレスを複数人で見るなら、必要なのはヘルプデスクのほうです。
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