OpenStatus
ステータスページと稼働監視をひとつにまとめたオープンソースツール。セルフホスト可能、コードとして構成でき、28 リージョンから疎通を確認します
OpenStatus は、公開ステータスページと稼働・API 監視をひとつのツールにまとめたオープンソースのプラットフォームです。監視サービスとステータスページのホスティングを別々に契約して手作業で同期させる必要がなくなります。ライセンスは AGPL-3.0、実装は TypeScript で、マネージドサービスとしても Docker でのセルフホストとしても使え、3 つのクラウドにまたがる 28 リージョンから並列に疎通を確認します。操作はダッシュボード、YAML ファイル、CLI、Terraform、MCP サーバーのいずれからでも可能です。創業者にとってこれは集客チャネルではなく信頼の面であり、最初の障害が起きる前に用意しておくべきものです。
OpenStatus とは
障害対応のコミュニケーションは、ふつう別々の製品に分かれている 2 つの半分でできています。ひとつはサーバーやサイト、API を見張って落ちているか遅いかを知らせる側。もうひとつは、問題が自分側なのか相手側なのかを確かめるために顧客が開く公開ページです。小さなチームはたいてい監視サービスとステータスページのホスティングに別々に課金し、そのうえで両者を手作業で揃え続けることになります。OpenStatus はこの両方を AGPL-3.0 で提供し、望むなら全部を自分で動かせるようにしています。あるベンダーが無事だと知らせるために別のベンダーに依存したくない、という考え方にも応えられます。
プロジェクトの開始は 2023 年 6 月で、実際に活発です。取得時点で最新のコミットは前日のもので、監視 URL のバリデーションでプライベートアドレス帯を弾く強化も含まれていました。構成は TypeScript のモノレポで、ダッシュボードが Next.js、API サーバーが Hono、チェッカーが Go、その下に Turso と Drizzle と Tinybird があります。アップグレードを計画する前に知っておきたい点がひとつ。GitHub にタグ付きリリースはありません。プロジェクトはメインブランチから出荷し、ビルド済みのコンテナイメージを公開しているので、固定するのはバージョン番号ではなくイメージのダイジェストになります。
標準で使えるもの
README は機能の範囲を具体的に書いているので、自分に本当に必要なものと突き合わせやすくなっています。
- ステータスページ 独自ドメイン、パスワード保護、メンテナンスウィンドウ、メールと RSS による購読者への通知。ホスト版の価格はシート単位でも購読者単位でもなく定額でメンバー数は無制限です。この分野は伝統的に「障害を知りたい人の数」で課金してきたので、ここは記しておく価値があります。
- 28 リージョンからのチェック 監視は 3 つのクラウドにまたがる 28 リージョンから並列に走ります。単一リージョンのチェッカーは、実際には片方のリージョンが不調なだけの状況をいずれ「サイトが落ちた」と伝えてきますし、それを知るのはたいてい午前 3 時です。
- コードとしての監視 監視、通知、ステータスページは YAML で宣言でき、CLI から操作し、GitHub Actions の中で実行し、Terraform で管理できます。インフラをすでにバージョン管理下に置いているなら、チェックもその隣に置いて同じようにレビューできます。
- アラート、API、MCP サーバー アラートの宛先は Slack、Discord、PagerDuty、メール。さらに Node SDK 付きの型付き JSON over HTTP API、エージェント向けの `--json` モードを持つ CLI、そして MCP サーバー があり、アシスタントがダッシュボードをスクレイピングせずにワークスペースへ直接問い合わせられます。
- セルフホスト Docker Compose ファイルでローカルにスタックが立ち上がり、公開イメージと Coolify 向けのデプロイ手順もあります。公開インターネットから届かない対象を自社ネットワーク内から確認するプライベートロケーションは、8.5MB のイメージ 1 本で配布されています。
できないこと。OpenStatus が見るのはエンドポイントであって、アプリケーションの内部ではありません。顧客が触れているものが応答しているか、どれだけ速いかには答えますが、なぜ止まったのかには答えません。トレースやログ集約は別カテゴリのツールであり、プロジェクト自身もそう装ってはいません。
創業者のグロース構成のどこに収まるか
ステータスページは集客チャネルではありません。そこははっきり言っておく価値があります。トラフィックは連れてきません。代わりに、2 つの場面で摩擦を取り除きます。見込み客が「ここは実在する会社か」を判断している場面と、既存顧客が「メールを書くか 5 分待つか」を決めている場面です。どちらもマーケティングというより信頼の仕事で、ソーシャルプルーフ に近い性質を持ちます。Documenso を自前で動かす価値があるのと同じ勘が働く領域です。小さな会社が責任ある存在に見えるための道具は、運用は安く、いざ必要な日に持っていないと高くつきます。
用意する引き金は、最初の障害ではなく最初の有料顧客です。障害の最中に作ったステータスページは、購読者ゼロで、誰も知らないドメイン上にあり、いま非常に忙しい人が書いたページになります。作業自体は 1 時間ですが、その価値はまるごと「対象の出来事より先に存在していたか」に依存します。開発者向けに売っているなら理由がもうひとつあります。ステータスページと変更履歴は、技術的な買い手が誰にも言われずに自分から探しにいく数少ないページで、ドキュメント と並びます。その読者層については 開発者ツールのマーケティングはどうやるか もどうぞ。
自分たちの群れにチェッカーを向けて学んだこと
ここは読んで得た話ではなく、運用して得た話です。AgentCeres — agentceres.com の AI Growth Officer — は顧客ワークスペースごとに別のコンテナを動かしており、アイドル状態のものは請求を抑えるためにゼロまでスケールします。そのため「応答しない」と「眠っている」は別々の状態になり、私たちの監視の勘は二度壊れました。ひとつめ。プローブは無料ではありません。ゼロスケールするサービスへのチェックは毎回そのサービスを起こすので、監視側がコールドスタートの代金を払い、本来見張るはずだった節約を静かに帳消しにします。ほぼ常時起きているワークスペースを追いかけた結果、たどり着いたのはログイン済みのまま放置されたブラウザタブで、数分おきに背景のエンドポイントを叩いていました。周りの群れは 1 桁台に収まっていたのに、です。ふたつめ。自分たちのヘルスチェックは、まったくプローブせずに「眠っている」と報告することを覚える必要がありました。これは、自分のアーキテクチャにとって「稼働している」とは何かを決めたあとでなければ意味をなさない一文です。
- まず自分のサービスにとって「稼働している」とは何かを決めること。コールドスタートやゼロスケールを伴う構成は、素朴なチェックでは遅い、あるいは落ちていると読まれますし、チェック自体が測定対象を変えてしまいます。
- 監視するのは顧客が触れるエンドポイントで、叩くのが安い内部のものではありません。壊れ方が違い、顧客を失わせるのは片方だけです。
- タイムアウトは実際のコールドスタート時間より上に設定すること。週に二度も空振りするアラートは、すでに無視することを学習済みのアラートです。
- 何も起きていないうちにページを公開しておくこと。独自ドメインも DNS も購読者も、穏やかな午後のほうがずっと段取りしやすいものです。
FAQ
- OpenStatus は無料ですか
- セルフホストは無料です。リポジトリは AGPL-3.0 で、Docker Compose の構成とコンテナイメージが公開されています。改変したうえで第三者にサービスとして提供するつもりなら、まさに AGPL が想定する場面なのでライセンスを読んでください。自社のステータスページとして動かすぶんには、面倒な制約はありません。プロジェクトはマネージド版も販売しており、そこでの売り文句は、この分野で一般的なシート課金や購読者課金ではなく、メンバー無制限の定額です。
- 小さなスタートアップに本当にステータスページは必要ですか
- 初日には不要ですし、有料顧客がつく前にも不要です。効き始めるのは、障害が起きたら 1 通ずつ返信するしかないサポートメールが発生する段階、あるいは買い手から障害時の運用を尋ねられる段階です。それ以前の、購読者も履歴もないステータスページは飾りです。それ以降は、1 対多の問題を 1 対多の回答に戻すいちばん安い方法になります。
- 無料の死活監視ツールで十分ではありませんか
- アラートの側だけなら十分です。URL に ping を打って応答が止まったら知らせてくれる無料ツールはいくらでもありますし、必要なのがそれだけなら使ってください。違いは公開側にあります。顧客が問い合わせずに読めるページ、購読、メンテナンスウィンドウ、そして信頼性の主張を「主張」ではなく検証可能にする可視の履歴です。両方の半分をひとつの設定で共有させたい、時間とともにズレていくのを避けたい、というときに OpenStatus は導入の手間に見合います。
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