広告費用対効果(ROAS)
広告費用対効果(ROAS)とは、キャンペーンが生んだ売上をそのキャンペーンの費用で割った値です。1ドルの広告費で4ドルの売上なら4×のROASになります。測っているのは広告費がどれだけ効率よく売上に変わったかであり、事業として儲かったかどうかより狭い問いです。
ROASの計算方法
式は、キャンペーンに帰属した売上をキャンペーンの費用で割るだけです。広告に2,000ドルを使い、そこに8,000ドル分の注文が帰属したなら、そのキャンペーンは4×のROASで回っていたことになります。通常はパーセントではなく倍率で書かれ、意図的に比率になっています。規模がまったく違うキャンペーン同士でも比較できるようにするためです。
この数字には2つの版があり、常に混同されます。チャネル別ROASは、あるプラットフォームが主張する売上とそのプラットフォームでの支出を使います。ブレンドROASは、総売上を総広告費で割ります。キャンペーンの最適化に使うのは前者、銀行口座と辻褄が合うのは後者で、プラットフォームが2つ以上動いていれば常に後者のほうが低くなります。
計測期間は式と同じくらい重要です。どのプラットフォームも自ら選んだアトリビューション期間の中でコンバージョンを数え、しばしばクリックから数日後まで含めます。そのため同じ週でも、いつ見るか、どの期間が設定されているかで3通りのROASが出ます。期間を1つ決め、書き留め、同じ条件同士で比べてください。誰かが期間を広げたせいで良くなったROASは、良くなっていません。
良いROASとは何か
普遍的な基準はなく、基準値を引用している記事は他人の粗利を引用しているだけです。あなたの損益分岐倍率は1を粗利率で割った値です。粗利25%なら現状維持に4×が必要で、粗利90%のソフトウェア製品なら1.1×付近で分岐します。以下はすべて、この数字が人を惑わせる箇所です。
- 粗利が下限を決めるので、同じ数字が成功でも失敗でもある。 3×のROASは粗利30%の商品では赤字、ソフトウェアなら優秀です。誰かの目標値を写す前に自分の下限を計算してください。
- プラットフォームが報告するROASは会社のROASではない。 各社は関与したコンバージョンを自社の成果として主張するので、同じ注文が2つの管理画面に現れることがあります。あるチャネルが事業を支えていると信じる前に、総支出と総売上と突き合わせてください。
- 初回注文のROASはその後をすべて無視する。 サブスクリプションやリピート前提のストアは、2回目が黒字なら初回の赤字を受け入れられます。それは広告の判断ではなく顧客生涯価値の判断です。
- ROASの上昇は、縮小しただけのことが多い。 最も温かい層まで支出を絞れば効率は上がるので、毎週良く見えながら毎週顧客が減っていくキャンペーンが成立します。
ROAS、CAC、そして両者の下にある数字
ROASと顧客獲得コストは別の問いに答えるもので、小さなチームは両方を見たほうが遠くまで行けます。ROASは広告費1単位がいくらの売上を返したかを問い、CACは新規顧客1人がいくらかかったかを問います。CACには代理店費用、クリエイティブ制作費、成約のために出した値引きなど、ROASが無視するものを含められます。ROASが立派でも、生涯価値を超えるコストの顧客を生んでいるキャンペーンはあり得るので、どちらか一方ではなく両方を並べて読みます。
自社の検索連動広告を回している一次情報を1つ。AgentCeres — agentceres.comのAIグロースチーム — で壊れていたのは比率ではなく、その下にあるイベントでした。登録のコンバージョンは正しく発火していたのに、有料プランのコンバージョンだけが静かに発火していなかったのです。計測の呼び出しが、ライブラリがエラーも出さずに無視する形で送られていたからでした。ページでもコンソールでもキャンペーンでも、おかしなところは何一つ見えません。その期間に計算された効率の数字はすべて、算数としては完璧で事実としては誤りでした。どんなROASも信じる前に、自分で定価の買い物をして、正しい金額付きでコンバージョンが届くことを確認してください。指標は、それを支えるイベントと同じ程度にしか正直になれません。
FAQ
- ROASとROIの違いは何ですか?
- ROASは売上を広告費で割り、ROIは利益を総費用で割ります。したがってROASは原価も決済手数料も人件費もソフトウェア費用も無視します。だからこそ、強いROASを出しながら1注文ごとに損をしている事業があり得ます。ROASはキャンペーン同士を比べるレンズとしては正しく、広告が事業活動として機能しているかを判断するレンズとしては誤りです。
- 良いROASの目安はいくつですか?
- 正直な答えは1を自分の粗利率で割った値に、比率が除外している費用を賄うだけの余裕を足したものだけです。よく引用される4×といった目標は小売の粗利から来ており、粗利の高いデジタル製品にも粗利の薄い再販業者にも何の意味もありません。まず自分の損益分岐点を計算してください。費用構造の違う相手から借りた基準は、基準がないより有害です。
- なぜ広告プラットフォームの売上はストアの売上より多いのですか?
- 各社が自社のアトリビューション期間の中でコンバージョンを数え、影響したと見なせる注文を自社の成果として主張するからです。放っておいても起きた注文も、他社も同時に主張している注文も含まれます。重複は不具合ではなく仕様です。突き合わせはブレンドで行います。総売上を総支出で割り、実際に入金された金額と照合してください。
- アーリーステージのスタートアップはROASを最適化すべきですか?
- オファーがコンバージョンし、計測が検証できてからにしてください。それ以前のROASはほぼノイズを測っています。支出が非常に小さいと1件の注文で比率が激しく振れ、そのノイズに対して最適化すると、公平な検証を受けないままチャネルを切ることになりがちです。初期はコンバージョン率と顧客1人の価値を知ることのほうが、広告アカウントの調整より結果に効きます。
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